開発者Q&Aまとめ
2025年12月19日、オーバーウォッチ2の開発者Q&Aが配信されました。
約1時間半にわたる長時間の配信でしたが、その中から特に注目度の高い内容をピックアップして要点を整理しています。
▼配信動画コンソール版エイムアシストの調整について

- エイムアシスト刷新の理由
- アッシュなどヒットスキャン・ヒーローで、PC版とコンソール版のパフォーマンスに大きな差が生じていたことが主な理由です。
- シーズン20での課題と学び
- 内部のデフォルト設定を不用意に変更した結果、エイムアシストそのものの効果ではなく、 エイム操作の感覚自体が変化してしまう問題が発生しました。
- この経験を踏まえ、開発チームは「コアなゲームプレイ要素を説明なしで変更すべきではない」という教訓を得たと語っています。
- 最新の修正内容
- 配信日当日のパッチで、約8名のヒーローを対象にエイムアシストの強度をおよそ半分に削減しました。
今後は統計データとプレイヤーからのフィードバックをもとに、最適な「中間点」を見出すための監視を続けていくとのことです。
試合中にスキン変更ができるようになる?
- 試合中のヒーロースキン変更機能を再検討中
- これまでは技術的な制約(ヒーローデータ再読み込みが必要など)によって実装が困難でした。 しかし、HDDからSSDへの移行が進んだことで、技術的な課題はほぼ解消されたと説明されています。
- 一方で、新たな懸念として「ゲームプレイの視認性」が問題に挙げられました。
- 試合中にヒーローの外見が頻繁に変化すると、プレイヤーが瞬時に戦況を把握しにくくなる可能性があります。
- この件は今後開発チーム内で引き続き議論されますが、現時点で実装が決定しているわけではありません。 技術的に可能でも、ゲームデザイン上の配慮を優先する場合があるとしています。
ヴェンデッタの開発秘話

ヴェンデッタは、単体では成立しなかった3種類の異なるヒーロープロトタイプを組み合わせることで誕生しました。
- 近接戦闘型のダメージヒーロー
- 壁を蹴ってジャンプし、投げたオブジェクトにテレポートできるヒーロー
- メイン攻撃がブーメランのように戻ってくるヒーロー(ジャンカークイーンのナイフに近い挙動)
何度もテストを重ねた結果、個別では機能しなかった各要素を統合することで、ひとつのまとまりあるキャラクター「ヴェンデッタ」として完成したとのことです。
スコアボードに「受けた回復量」を表示?

- 内部での議論とプレイヤーの要望
- スコアボードに表示すべき統計について、開発チーム内でも議論が行われています。 プレイヤーからは「受けた回復量」だけでなく、 マーシーのダメージブースト量などの表示も求める声があるとのことです。
- 導入のメリットと懸念点
- メリット: 自分のパフォーマンスを客観的に分析し、試合内容をより深く理解するための指標となる。
- 懸念点(トキシック性): 情報を開示することで、他プレイヤーを責めるなどトキシックな行動が助長される可能性が懸念されています。
- ただしアーロン・ケラー氏は、「どんな情報を与えても、攻撃的な人は結局攻撃的に使うものだ」とも述べています。
- UI上の制約
- 現在のスコアボードには新しい項目を追加する余白がなく、表示領域が課題となっています。
- この解決策として、開発者のギャビン氏から「2ページ構成のスコアボード」案が提案されました。
- 1ページ目:基本的な統計(気分よくプレイできる要素)
- 2ページ目:詳細データ(確認したいプレイヤーが手動で切り替える)
開発チームはこの案を「追求する価値のある非常にクールなアイデア」と評価していますが、 リソースの優先順位を見極めたうえで慎重に検討していく方針です。
現時点では実装時期など具体的なスケジュールは未定です。
ワークショップの拡張予定は?
- 現状の計画: 現時点では、ワークショップを拡張する公式な予定はありません。
- 開発チームの見解: ワークショップが多くのプレイヤーにとって重要な機能であることは理解しており、 長期的なロードマップの候補には含まれています。
- 今後の課題: 優先度の高い他開発項目が多い中で、ワークショップに十分なリソースを割くことができるかが焦点です。
6v6のバランス調整について
- シーズン19の中盤でバランスパッチを実施。
- 現時点では具体的な追加調整の予定は未定です。
- 今後、コミュニティの大きな反応や、 5v5と6v6の間でバランスの乖離が生じた場合には再度検討を行うとしています。
バランス調整に対する考え方
開発チームは、統計データに基づく「科学」と、 メタやプレイヤー感情に配慮する「芸術」の両面から調整を行っています。
- 調整頻度: 各シーズンの開始時と中間(ミッドシーズン)の2回、大型バランスパッチを実施予定。
- 判断基準: ヒーローの勝率などの数値だけでなく、 「快適さ」や「アビリティがフラストレーションを生んでいないか」といったコミュニティの声も重視。
- スピード感: シーズン開始パッチのわずか1週間後には中間パッチの内容を固める必要があり、 非常にタイトなスケジュールの中で開発・テストが進められています。
ヴェンデッタの調整
- シーズン20の中間パッチでさらなる調整を実施予定。
- 「空中で無音である」問題についても、 足音や効果音を追加する方向で検討中。 新たな音響制作が必要となるため、対応は来年初頭を見込んでいます。
2026年、ヒーローのリワークを計画

1. 2026年に向けたリワーク計画
すでに複数のヒーローリワークが議論段階に入っており、 チームは今後もリワークを継続的な焦点として開発を進めていく方針です。
2. リワークを重視する理由
開発ディレクターのアーロン・ケラー氏は、リワークがもたらす影響の大きさを次のように説明しています。
- 影響の広さ: 新ヒーローの追加はインパクトが大きい一方、特定のロールをプレイしない層には恩恵が少ない場合があります。
- 既存プレイヤーへの恩恵: 既存ヒーローをリワークすることで、より多くのプレイヤーに影響を与えられると考えています。
マップのリリース方針について
- 2026年には複数の新しいコア・マップをリリース予定。
- これまで「スタジアム」用マップにリソースを集中していましたが、 今後はコア・マップ開発に重点を置く方向へとシフトします。
- 「新マップ追加」から「マップ・リワーク」への転換。
- すでに30種類以上のマップが存在しており、 新マップが追加されても実際に当たる確率はわずか数%にとどまります。
- そのため、プレイヤー体験に悪影響を与えている既存マップを修正する方が、 ゲーム全体のクオリティ向上に効果的だとチームは判断しています。
変わらないオーバーウォッチの設計原則
1. 操作性こそが王者(Control is King)
Blizzard全体、そして『オーバーウォッチ』を象徴する設計思想が 「Control is King(操作性こそが王者)」です。
- ヒーローの操作に対するレスポンスを最重要視し、 俊敏な移動やカメラ挙動、アニメーションまで細部にこだわっています。
- 高速なゲーム展開を支える「高い応答性」は、 オーバーウォッチの根幹を成す要素として今も守られています。
2. 「複雑さを伴わない奥深さ」からの変化
- ソジョーンのように、シンプルなアビリティ構成でもプレイスキル次第で深い表現力を発揮できることを理想としてきました。
- しかし、リリースから10年が経過しプレイヤー層が成熟した現在は、 より戦略的かつ複雑なシステム(例:パークシステム)の導入にも前向きな姿勢を見せています。

